打診理由の記述は、買い手企業に対して、自分自身ないし自社情報を直接お伝え出来る有効な手段です。
M&A交渉の最初の入り口である「打診」が承諾されるか否かによって、その後の売却活動が大きく左右されてしまうため、特にこの打診段階で、お相手となる買い手企業にとって、いかにM&A・出資することが有効であるかをお伝えできるかが、前向きな交渉を進めていくうえでのカギとなっています。
あまりにも簡素な打診理由の場合、せっかく相性の良いお相手であったとしても、マッチング率が低くなる傾向(平均的に10%以上マッチング率が下がる傾向)が確認されています。
悪い文例
「相性が良いと思ったので、打診しました」
「記載されている領域・対象において、弊社事業とマッチしているため打診しました」
上記のような文例では、自社の優れた点のアピールや、買い手企業の募集ページの何を見て打診したのか(買収対象領域、M&A戦略など)が伝わらず、買い手企業としても承諾することに抵抗を感じてしまいます。
折角のM&A交渉の機会が、最初の打診理由が不適切であるがために進まなくなることを避けるためにも、下記のような良い文例テンプレートを参考に、相手に伝わる打診理由で打診してみましょう。
承諾されやすい打診理由のポイント
①自社がどのような企業であるかが、買い手企業に向けて簡潔に伝わる
②自社の都合だけではなく、お相手となる買い手企業の中身を見て打診している(買収対象領域や業種、ストーリーの情報が打診理由に記載されている)ということが伝わる
良い文例テンプレート①(買収対象領域の内容とマッチしている場合)
初めまして。
【会社名を記載】の【やりとりいただくご本人名・役職を記載】と申します。
弊社は、【事業内容を簡潔に記載】を運営しております。
【メインの顧客ターゲットを記載】を主な顧客とし【強みを記載】により顧客基盤やブランディングを確立しており、現在年商は約【前期売上高を記載】円にまで成長しております。
今回、【売却理由を記載】のため譲渡を検討している中で貴社の記事を拝見し、【買い手の買収対象領域を記載】の買収を検討されていることから、M&Aによって弊社の事業と連携できるのではないかと考え、打診致しました。
ぜひ一度、直接お話できればと思っておりますので、ご確認のほどお願い申し上げます。
良い文例テンプレート②(過去のM&A・出資実績とマッチしている場合)
【会社名を記載】の【やりとりいただくご本人名・役職を記載】と申します。
貴社の募集ページを拝見し、過去の【M&A・出資事例】という事例を拝見して、該当領域に力を入れていこうとしているのではないかと感じ打診しました。
当社は、【事業内容を簡潔に記載】を運営しております。M&Aにより貴社と連携することで、【具体的なシナジー(顧客・技術など)】といったシナジーがあると考えています。
ご興味いただけるようでしたら、是非お返事をお待ちしております。
良い文例テンプレート③(具体的なシナジーが提案できる場合)
【会社名を記載】の【やりとりいただくご本人名・役職を記載】です。
当社は、【事業内容を簡潔に記載】を運営しております。
今回、【売却理由を記載】のため譲渡を検討している中で貴社の記事を拝見し、【買い手の買収対象領域を記載】の買収を検討されていること、また、貴社の【買い手と一緒になって伸ばしていけるストーリーを簡潔に記載】を活かしてより一層この事業を拡大いただけるのではないかと考え、打診致しました。
ぜひ一度、直接お話できればと思っておりますので、ご確認のほどお願い申し上げます。